夏休みの読書:人工知能の本
今年は人工知能に関する次の2冊を読みました。少し背筋が寒くなる内容もあり、暑い今年の夏にもピッタリです。
・「2045年問題 コンピュータが人類を超える日」(松田卓也著)
2045年問題とは、「2045年にコンピュータの知能が地球の全人口の知能を越え、それより先はコンピュータの行末を人間が予測できなくなる」という仮説をめぐる議論。本書は2045年問題のわかりやすい解説書です。2045年問題が仮に現実となった時、映画「ターミネーター」のような、「意識を持った人工知能 vs 人類」といった、恐ろしい事態が生じる可能性も。本書を読むとその可能性を十分考慮しなければならないと感じられるようになってきます。おすすめです。
・「クラウドからAIへ アップル、グーグル、フェイスブックの次なる主戦場」(小林雅一著)
内容は「2045年問題~」と似ていますが、人工知能の発展により、2045年よりも遠くない身近な将来について起こりうることが書かれています。人工知能の台頭によって雇用が奪われる分野は広範囲になりそうです。司法書士事務所にある業務用ソフトにも人工知能搭載のものが出てくるんでしょう。事例が豊富で楽しめます。
さて、こちらの画像は、両方の本に紹介されていた、人工知能が猫を認識する能力を”自力で”獲得したというGoogleによる2012年の発表に掲載されていたものです。その人工知能が顔の特徴を抽出し、猫だと判断したという画像?だそうです。
「2045年問題~」では、この人工知能のシナプスに相当するものの数をもっと増やせば、量質転化が起こり、人工知能に「意識」が生まれるかもしれないといいます。
ところで、一般的に司法書士事務所にとって8月は2月と並んで暇な時期にあたります。
零細司法書士事務所の経営者としては、とりあえず、遠い未来よりも、今月の業務の受託状況という現実を心配した方がよさそうです・・・
・・・最後に、今までに読んできた人工知能関連の本を列記してみます。
・「IBM 奇跡の“ワトソン”プロジェクト: 人工知能はクイズ王の夢をみる」(スティーヴン・ベイカー 著)
クイズ番組で優勝するための人工知能「ワトソン」の開発記。”就職先”として法律事務所も想定されているそうです。法律はその用語の使い方に特別なルールがあり、法律関連の文章もそのルールに則って書かれているので表現にブレが少なく、人工知能に学習させやすい言語ではないかと思います。司法書士事務所用の人工知能、どなたか開発しませんか?
・「石頭なコンピュータの眼を鍛える」(佐藤真一著、齋藤淳著)
画像認識技術にSVMといった人工知能を利用していることが分かりやすく書かれています。
・「その数学が戦略を決める」(イアン・エアーズ著)
古い本なので記憶が薄れていますが、今で言う「ビッグデータ」の事例集です。確かクレジットカードの与信とかに、人工知能ニューラルネットが使われているという記載があったような気がします。文庫になってますし、おすすめです。
・「ボナンザVS勝負脳―最強将棋ソフトは人間を超えるか」(保木邦仁著、渡辺明著)
コンピューター将棋が強くなった理由に、IBMのディープブルー(チェス用プログラム)と同様、機械学習の採用があるとします。
・「ポスト・ヒューマン誕生―コンピュータが人類の知性を超えるとき」(レイ・カーツワイル著)
「2045年問題」の発端となったレイ・カーツワイルの書。現在、googleにお勤めだそうです。数年前に買いましたが、難しくて途中で断念したままです。
・「ロボット兵士の戦争」(P・W・シンガー 著)
戦争兵器が次々とロボット化されている現実とその未来の展望。さまざまな兵器の性能や開発過程は興味深いものがあります。おすすめです。
・1984 (Penguin Readers, Level 4)
簡単な英語で書き直されたもの(リトールド版)を読みました。ビッグブラザーと呼ばれる盗聴システムが出てきますが、膨大な情報量のため、人工知能で管理していると思われます。
・I, Robot Pack: Pre-intermediate Level (Macmillan Readers)
こちらもリトールド版を読みました。「ロボット三原則」が忠実に守られるのなら、未来を心配しなくてもいいのかもしれません。
gad
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